世界中の何百ものAIチームとのコミュニケーションで、1つはっきりしたことがあります。
ボストンからドバイまで、私は何度も同じ話を聞きました: AIチームは行き詰まりを感じている。
AIの管理・推進者たちは、AIをゼロから構築するか、まったくニーズに合わないポイント・ソリューションを購入するかという適切でない2択を強いられています。AIに対する信頼は未だ十分とは言えず、ほとんどの企業が完全に信頼し、活用できるものではありません。また、多くのチームは、ビジネスにおけるAIの導入目的を実現するために必要なスキルや専門知識を完全に備えていません。
DataRobotでは、その重要性を理解しています。創業以来、私たちは有意義なインパクトをもたらし、困難なAI問題に取り組むAIの開発・提供に注力してきました。だからこそ、今回、DataRobot Enterprise AI Suiteを発表できることを嬉しく思います。
DataRobot Enterprise AI Suiteのご紹介
組織がAIを活用して有意義な成果を創出できるよう支援するという当社のコミットメントを実現するため、Enterprise AI Suiteが開発されました。このスイートは、柔軟なプラットフォーム上に構築されたカスタマイズ可能なAIアプリケーションで構成される包括的なソリューションです。
これは、ビジネスにAIを融合させ、AIを安全に使い、AIチームをさらに強くするために必要なすべてを提供するように設計されています。
お客様のビジネスチームが望む場所、望む方法で動作するAI
私たちは、AIが関係者のワークフロー、選択したツール、そして正確なビジネス要件にシームレスに適合するようにするために、AIチームが直面する複雑で多面的な課題を深く理解しています。
そのため私たちは、お客様独自のビジネス・ニーズに対応するため、完全にカスタマイズ可能なAI App Suiteを構築しました。SlackやMicrosoft Teamsのようなツール、SAPアプリケーション、固有のアプリケーションなど、ユーザーが働くあらゆる場所にAIを容易に組み込むことができます。
複数のAIテクニックを簡単に扱う
組織のニーズは千差万別であり、画一的なソリューションでは不十分なことを私たちは理解しています。ビジネスに合った成果を生み出すには、様々なAI技術が必要です。
私たちが提供するスイートは、あなたとあなたのチームに、ビジネス目標に合致したAI技術を柔軟に適用できる自由度を提供します。エージェントフロー、予測インサイト、RAG(検索拡張生成)など、様々な技術を活用することで、多様なユースケースに自信を持って対応できます。
コラボレーションを効率化
AI開発において、チーム間で効果的に連携をとることがいかに難しいか、という声をよく耳にします。パイプラインは複雑で壊れやすく、プロジェクトを別のチームに引き継ぐのは困難な作業になりがちです。そのため、AIソリューションを効率的に本番環境に導入することが難しくなっています。
このような負担を軽減するため、私たちはAIアプリ開発プラットフォームを設計しました。このプラットフォームは、複数のツールを組み合わせる手間をかけずに、各チームメンバーに必要なものを提供する特注のツールを備えています。
最も一般的なLLMやモデルにアクセスしたり、独自のツールを持ち込んだり、好みのツールを統合して作業できる柔軟性と制御性を備えています。
さらに、開発と導入を加速するために、データ準備、テスト、CI/CDパイプライン、ガバナンスなど、最も労力を要する手順を自動化しています。
DevOpsがソフトウェア開発者にもたらした効率性、コラボレーション、信頼性、透明性、品質保証を考えてみてください。
それが私たちのAIへの取り組みです。
AIチームの全員に、作業方法と場所を自由に選択できる適切なツールと技術を提供し、、プロジェクトの引き継ぎ間でシームレスなコラボレーションを保証することで、AIモデルの整合性をエンドツーエンドで維持します。
当社のAIアプリ構築プラットフォーム、多様なAI技術、そしてビジネスワークフローにシームレスに統合する完全にカスタマイズ可能なアプリの組み合わせが、フォーチュン500の大手企業がDataRobotを利用する理由です。DataRobotは、ハイパースケーラーへの投資を強化し、AIを拡張することで、10倍のユースケースを提供することができます。
Enterprise AI Suiteの一環として、業界をリードする30以上の新機能を発表しました。
これらが何であるかについては、今後のブログ記事でより深い洞察を得ることができるでしょうが、我々が大きな影響を与えると信じているものがあるので、最も興奮しているものをいくつか紹介したいと思います。
ビジネスにAIを融合させる
AIに数十億ドルが投資されているにもかかわらず、ビジネス目標を達成するために必要なツールを備えていると感じているAIチームはわずか3分の1です。生成AIアプリの経験とビジネスへのAIの実装は、AI領域においてチームが直面している2つの主要な未達のニーズでした。
これらの具体的な課題に対処するために、2つの新しい機能が設計されました。
カスタマイズ可能なAIアプリとエージェント
私たちは、10年にわたる応用AIの経験と数千に及ぶ多様な導入ノウハウをもとに、AIユースケースで最も一般的なパターンを完全にカスタマイズ可能なテンプレートとして体系化しました。
これにより、ビジネスロジック、アプリロジック、セキュリティ、ガバナンス、UXを完全に制御できるようになり、パイプラインを組み立てるのではなく、成果に集中できます。
構築されたアプリは、テンプレートとして共有したり、AIアプリギャラリーに追加して、他のユーザーが使用したり、構築したりすることもできます。
一般的なビジネス・アプリケーションにワンクリックでAIを組み込む
AIはスタンドアロンのアプリで使用されるとは限らないため、Slack、Microsoft Teams、SAPのためのワンクリック埋め込み機能を追加しました。
SAPの唯一のAIパートナーとして、お客様のアプリケーションやモニタリングエージェントをSAPエコシステムに簡単に組み込むことができます。SAP DatasphereとAI Coreに直接アクセスすることで、モデルはよりデータに近くなり、より迅速で効率的なスコアリングが可能になります。
AIを安全に使う
当社は10年以上にわたり、金融、ヘルスケア、政府機関など規制の厳しい業界のAIリーダーと協力し、AIのセキュリティとガバナンスを最重要課題としてきました。
この経験を通して、規制、セキュリティ、運用上のリスクを管理するための私たちのアプローチは形作られました。そして、AIの利用範囲を拡大していくにつれて、リスクが指数関数的に増大するという認識を、私たちはより深く理解するようになりました。
現在、生成AIとエージェントワークフローが新たな複雑さを増す中、私たちはこれまでの経験を活かし、AIソリューションの安全性とコンプライアンスを本番環境で維持できるよう支援しています。
業界初の新しいツールは、ビジネスの拡大に伴う一貫した信頼性の高い監視を支援します。
規制に対応したAIとワンクリックの生成AIコンプライアンスレポート
EU AI Act、NYC法第144号、カリフォルニア州法AB-2013のような規制が増加するに連れて、コンプライアンスへの対応は複雑で時間を要するものになる可能性があります。
ワンクリックで自動で生成される生成AIコンプライアンスレポートは、主要な要件をドキュメントに直接マッピングすることで、モデルリスク管理(MRM)プロセスと規制遵守を合理化し、プロセスを簡素化ます。
また、コンプライアンスを達成することがほんの第一歩に過ぎないことを私たちは知っています。そこで、コンプライアンスを維持しつつ、進化する基準に適応し、手動レビューの時間を削減するのに役立つ、ガバナンステストとアラートを導入しました。
私たちは長年にわたり予測AIの自動コンプライアンスドキュメントを提供してきました。そして、それがMRMプロセスをどのように加速させ、運用を拡張し、本番環境でのAIソリューションを成果を10倍に増加させる様子を目の当たりにしてきました。この機能を生成AIに拡張することは、当然のステップでした。
AI向け脆弱性検知テストとオブザーバビリティアドオン
ブランドの評判とリスク管理は、生成AIを導入するAI管理・推進者にとって最も重要な関心事です。手動によるセキュリティチェックは、常にペースを維持できるとは限りません。
これを解決するために、私たちの新しい脆弱性検知テストは、PIIの漏洩、プロンプトインジェクション、毒性、バイアスなどの脆弱性をフラグ付けします。そのため、あなたはより少ない労力で安全性とコンプライアンスを維持できます。
さらに、新しいオブザーバビリティアドオンにより、DataRobotで構築されたあらゆる生成AIアプリをリアルタイムで監視できます。わずか1行のコードで、以下のことが可能です。
- すべてのエージェントおよび生成AIソリューションにわたって、オブザーバビリティ、介入、およびモデレーションを提供するAIファイアウォールを作成します。
- LLM、ベクトルデータベース、RAGフローなどのコンポーネントに、エンタープライズガバナンス、リアルタイムの監視、およびモデレーションを適用します。
AIチームをさらに強くする
AIの潜在能力を最大限に引き出すには、モデル開発を平均7か月まで延長させる可能性のある技術的なハードルを克服する必要があります。 そして、ほとんどのAIプロジェクトは異なる5つのチームを経て、およそ7つの異なるツールと12のコーディング言語を使用するため、プロセスは多くの場合、断片化され複雑になります。
この断片化されたアプローチでは、チームは結果を推進しスキルを拡大するのではなく、ツール作りに縛り付けられることになります。
私たちは、チームが好みの環境で作業できる柔軟性を常に重視してきました。コードとGUI、予測モデルと生成モデル間をスムーズに行き来できる環境です。
そのため、チームが好みの環境で作業できる柔軟性を提供することに重点を置き、コードとGUI、予測モデルと生成モデル間のスムーズな移行を保証してきました。
最新のリリースでは、開発プロセス全体を簡素化する新しい構成要素が追加され、さらに進化しました。
- コーディングブロック:複雑なコードを解消し、共同作業を効率化し、生産性を加速させ、長期にわたるメンテナンスを簡素化する、拡張性の高いコーディングブロックです。エンドツーエンドのAIアプリケーションを構築するためのシームレスなパスを実現します。
- データ準備の自動化:予測AIと生成AIの両方のアプリケーションでデータをAIに対応させるために必要な、手動の複雑な作業を最小限に抑えます。データの自動修復、インサイトの視覚化、特徴量検出などの強化された機能により、生のデータから特徴量エンジニアリングとモデリングへの移行を、数時間ではなく数分で実行できます。
- マルチモーダルな増分学習(Incremental Learning)と非構造化データ処理: さまざまなデータタイプに対応する新しい増分学習により、チームは組織のデータの潜在能力を最大限に引き出すことができます。このユニークなアプローチにより、チームはデータのサイズや種類に制限されることなく、幅広いAIのユースケースに取り組み、データを効率的に処理し、過学習を防ぎ、精度を向上させ、計算コストを抑制することができます。
さらに、組み込まれたOCRは、非構造化文書を生成AIに対応したデータに変換し、モデルのトレーニングを加速し、結果を向上させます。
ビジネスに役立つAI
AIの未来は、単に技術的な進歩だけにとどまりません。それは、あなたの組織にとって理にかなった方法で、現実のビジネス課題を解決することです。
AIがあなたのワークフローにシームレスに統合され、ニーズに合わせて進化し、チームがよりスマートな意思決定をより迅速に行えるようにすることを想像してみてください。
これはほんの始まりにすぎません。適切なツールとテクニックがあれば、新たな可能性を解き放ち、プロセスを合理化し、真の価値を創造することができます。
未来は可能性に満ち溢れており、次の一歩を踏み出すのはあなたです。
詳細については、DataRobotの製品suite全体をご覧ください。
執筆者について
Venky Veeraraghavan
Chief Product Officer
Venky Veeraraghavan は DataRobot の製品チームの責任者であり、DataRobot の AI Platform の作成と提供を推進しています。製品リーダーとして 24 年を超える経歴を持っており、以前は Microsoft 社や初期のスタートアップ企業であった Trilogy 社で勤務していました。Venky は世界の極めて複雑な組織や大規模な組織の一部で、ハイパースケールのビッグデータと AI プラットフォームの構築について 10 年以上を費やしてきました。米国ワシントン州シアトルに家族と共に住んでおり、ハイキングやランニングを楽しんでいます。
Venky Veeraraghavan についてもっとくわしく