従業員の将来の幸福度を予測して人材を育成し、先手を打って従業員が離職する可能性を減らします。
意思決定環境
データのパターンを学習する最も優れたモデルを見つけて従業員の幸福度を予測できるようになったら、DataRobot を使って簡単にそのモデルを目的の意思決定環境にデプロイできます。意思決定環境とは、モデルで生成された予測結果を組織内の関係者が使用する方法、およびその予測値に基づいてプロセスに影響する最終的な意思決定を行う方法を指します。
意思決定の成熟度
自動化 | 強化 | 混合
DataRobot は、人事担当者とビジネスマネージャーが、必要な情報を十分得たうえで従業員に関する意思決定を行って、従業員の満足度向上を達成するための基盤となります。
データパイプラインで意思決定を自動化できるユースケースもありますが、従業員離職モデルの目的は、経営チームの意思決定力を強化することです。このモデルは、人事担当者の専門知識と組み合わせることでインテリジェントなツールとして機能し、従業員体験全体の改善に役立ちます。
モデルのデプロイ
重大な責任を負う意思決定者は、DataRobot を利用して、従業員の幸福度を向上させる最上位の要因と当該従業員に固有の要因を十分に見通せます。この手法により、従業員の幸福度を確保するための戦略的および戦術的な意思決定を下せるようになります。以下に、モデルの予測を意思決定プロセスに組み込むためのアプローチをいくつか示します。
- モデルの出力を一元化された HR データベースに接続する: 他のビジネスシステムからもアクセスできるデータベースにリストを格納します。
- 予測の利用者の日常業務ワークフローに埋め込まれた他の HR システムに接続する: 結果を Workday などの HR システムや BI ダッシュボードに統合できます。一般的なビジネスインテリジェンス統合ツールには、Tableau、Power BI、Excel などがあります。
意思決定の関係者
意思決定の実行担当者は、人事担当者と、従業員体験の向上を委ねられたビジネスマネージャーの両方です。下の図では、異なる状況で同じモデルが活用されています。
意思決定プロセス
予測結果をそのまま予見される離職イベントとして扱うかどうかを決定するしきい値を設定できます。人事担当者とビジネスマネージャーが必要な介入戦略を策定できるように、各レベルのしきい値に明確な対処項目を割り当てます。
低リスク: すぐに対処する必要はありません。
中リスク: 離職リスクの増大につながりかねない、背景にある特徴量を調査します。改善のためにすぐ対処できる特徴量を見分け、そのとおりに対処します。[特徴量のインパクト]および[特徴量の重要度]チャートを調べると、より適切な意思決定を行う助けになります。
高リスク: 離職のリスクが他より高い従業員の場合は、いっそう巧みなアプローチが必要になると考えられます。幸福感が得られず、離職を考える理由はすべての従業員で同じとは限りません。このような状況では、予測の説明(詳しくはこちらを参照)と What-If アプリケーション(詳しくはこちらを参照)がすばらしいツールになり得ます。職場にいる特定の従業員の幸福度を高める可能性のある潜在的な代替手段を理解し、離職の決定を考え直してもらう助けになるからです。能力のある人事チームがこの高度にパーソナライズされた戦略を採用すれば、才能のある貴重な従業員の離職を食い止めるのに確実に役立ちます。
モデルの監視
意思決定の運用者: 人事 IT/システム運用者、人事データサイエンティスト
予測サイクル: 四半期ごとのバッチ予測およびアドホック予測の両方
モデル再トレーニングサイクル: 割り当て済みのしきい値にデータドリフトが達した場合、モデルを再トレーニング。それ以外の場合、新しい営業四半期の期首ごとにモデルを再トレーニング
導入のリスク
このモデルの監視リスクは比較的低いと見られます。この種のユースケースの場合、モデルは通常、四半期ごとに 1 回再トレーニングされますが、それより頻度が低い可能性もあります。予測の側面から上述の予測サイクル(バッチおよびアドホック)を考えると、全体的な予測導入リスクは非常に低いと言えます。モデルの適切な使用と出力される結果に関して潜在的な運用リスクはありますが、ほとんどの組織では、この種の情報は流出しないよう人事組織内で厳重に管理され、主要なビジネスリーダー間でのみ共有されます。
信頼できる AI
このユースケースでは、従来のリスク分析に加えて、AI Trust の次の要素に注意する必要があると考えられます。
ターゲット漏えい: ターゲット漏えいは、モデルをトレーニングするために予測が使用されているときには利用可能にすべきでない情報を表します。これは、特定の特徴量から最終結果に関する情報が漏れる可能性があると、トレーニング中のモデルのパフォーマンスが人為的に誇張されることになる、ということです。このユースケースでは履歴データの集積が必要なため、潜在的なターゲット漏えいの影響を受けやすくなっています。このモデルの設計とデータの準備段階で、確実に予測ポイントを特定し、その時点以降のデータ(アンケート関連データ、労働時間、給与、役職、上司の変更など)が一切含まれないようにすることがきわめて重要です。DataRobot は、2 回目の探索的データ分析時、およびオートパイロット中に情報に富んだ特徴量で特徴量リストを構成する際に、強力なターゲット漏えい検出を追加でサポートします。
偏りと公平: このユースケースで使用する特徴量は、保護対象として分類されたり、機密扱いになっていたりする可能性があります(年齢、性別、住居、教育、給与など)。そのため、モデル内の保護対象または機密扱いの特徴量全体にわたって同一のエラー率になっているかどうか確認することをお勧めします。たとえば、間違って介入の対象になる可能性がいずれの(性別)グループにも偏らないよう、偽陰性率と偽陽性率が男性従業員と女性従業員で同じになっているか比較します。必要に応じて、モデリングプロセスのさまざまな段階で偏りを軽減する方法を検討できます。また、予測の説明で、保護対象または機密扱いの特徴が、個人の潜在的な離職の可能性を高める主な要因の 1 つとされている場合も、特別な措置が必要になると考えられます。
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執筆者について
DataRobotはバリュー・ドリブンAIのリーダーであり、組織がAIをアイデアから実際のビジネス価値へ加速させることを支援しています。AIイノベーションの最前線で10年以上の経験を持ち、組織の収益向上、ビジネスビジョンの実現、そして私たちを取り巻く世界に真の変化をもたらすために必要な知識と経験を持ちあわせています。
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