ビジネス・アナリストがAIの民主化を成功させるためには

2018/12/07
執筆者:
· 推定読書時間 2  分

DataRobotでBusiness Developmentを担当している五十嵐です。 

前回は、AIの民主化のための組織構築についてご説明させて頂きましたが、今回はデータ・サイエンティストでないビジネス・アナリストがAIの民主化を成功させるためのポイントについてご説明させて頂きます。

DataRobotは、データ・サイエンティストだけでなく、アナリスト(ビジネス・アナリスト、データ・アナリストなど)にも簡単にお使い頂く事が可能な機械学習の自動化プラットフォームです。そのためアナリストなどのビジネスユーザーがシチズン・データ・サイエンティスト(以下、シチズンDS)として、企業内の様々な課題を機械学習によって解決する事も可能になります

ビジネス・アナリストがシチズンDSを目指す事が可能である事は分かったとしても、どうやって人を育ててプロジェクトを成功させれば良いかが不明な方も多いかと思います。

本ブログでは、シチズンDSに求められるスキルやプロジェクトの進め方についてDataRobotの取り組みをご紹介させて頂きます。

ーーー【 目次】ーーーー

  1. BIにおける意思決定の課題
  2. シチズンDSに適しているビジネス・アナリストとは?
  3. シチズンDSでもAI導入が成功できるアプローチ

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1. BIにおける意思決定の課題

過去データを元に分析し、意思決定を行う事でビジネスを改善する事には課題があります。それは、BIで分析を行うビジネス・アナリストの経験と勘によって分析の結果自体が大きくバラつく可能性があるという事です。

BIダッシュボードを元に仕入れの発注量を判断する業務を例にしてみます。

このダッシュボードでは、昨年12月の売り上げや、今年12月以降の気温予想、ショッピングモール来客予想、といった情報が参照できます。

しかし、分析するビジネス・アナリストのスキルや経験と勘によって、以下の様に意思決定にバラツキが発生する可能性があります。

もし仮に、2018年12月の販売実績が1300個だった場合、以下の通りに売り上げが大きく異なります。(ジャケット単価を30,000円とします)

  • Aさんシナリオ・・・39,000,000円= 1,300個×30,000円
  • Bさんシナリオ・・・24,000,000円= 800個×30,000円  *機会損失(15,000,000円=500個×30,000円)
  • Cさんシナリオ・・・39,000,000円 ー  400個分の在庫コスト

Aさん、Bさん、Cさんが各地域ごとの仕入れを担当する立場だったとしたら、会社の業績へのインパクトの大きくなる事が想像つくと思います。もし、AIの導入によって精度良く販売予想が行える様になり、この仕入れのバラツキを無くす事ができる様になったら皆様の会社の業績は大きく変わる事になるでしょう。

2. シチズンDSに適しているビジネス・アナリストとは?

セルフサービスBIの普及によって、BIツールを使いこなせるユーザーが増えてきました。BIユーザーは大きく分けて、3つの層に分かれると考えています。

1. 課題を探索できるビジネス・アナリスト

  • 様々なデータを収集し、データから課題を探索し、分析結果から今後のビジネス活動の意思決定をしているユーザー。(例) 販売の予算実績を製品別/チャネル別/エリア別/業種別などで分析し、業績の良いor悪いスポットはどこで、それがどういった要素なのかを調査

2. 報告のためのレポート作成者

  • 脱エクセルを実現し、レポーティング/ダッシュボードの自動化を実現(例) 販売の予算実績を製品別/チャネル別/エリア別/業種別などで分析し、業績の良い部門とそうでない部門などを表示

3. レポート参照者

  • BIレポートの結果を参照し、状況を理解するユーザー。

シチズンDSでは、データを元にビジネス課題を探索したり、ドリルダウンして原因やアクションを決める事ができるビジネス・アナリストの方が重要です。BIダッシュボードを自分で作成するだけでなく、課題を見つけ出す事ができる能力が必要になります。

 上記のダッシュボードの例ですと、2018年の11月の冬物ジャケットが前年より売れた理由を考える事ができる人になります。右上チャートの製品売り上げ比率を見ると東京はバナナイエローの割合が多く、他の地域はそうではない事がわかります。下チャートの売り上げを見ると、2018年11月は東京だけやたら売れているが他のエリアは売れていない事がわかります。ここで重要なのは、東京で何故売れたのかという理由も大事ですが、大阪/名古屋は何故売れなかったのかを考える事です。東京限定イベントで、バナナイエローのジャケットをモデルが着た事が流行ったのかもしれないですし、大阪/名古屋でピンク色が流行ったので現地の店舗の判断でマネキンにピンクを前面に出してしまったが、イマイチだったので外れたのかもしれません。

また、考える事がゴールではないので、これらインサイトを元に今後の活動を改善できる様、発信し現場を動かす事ができるコミュニケーション能力を持ったビジネス・アナリストは非常に重要です。

3. シチズンDSでもAI導入が成功できるアプローチ

DataRobotを活用してAIの導入を成功する事ができるシチズンDSは、前述したデータを元にビジネス課題を探索したりドリルダウンして原因やアクションを決める事ができるスキルを持ち、かつBIでの意思決定を行う事に課題を感じているビジネス・アナリストの方になります。

AI導入で成功させるためには、意思決定をどの様に行い、かつ意思決定に基づいたアクションをどの様に行うのか?また、その際のビジネス・インパクトがどの程度あるのかを測定できせるかを事前に定義できるかどうかが非常に重要です。このアプローチをしっかりと踏む事ができれば、AIプロジェクトの成功確率は非常に高くなります。

  実際に、国内事例としてもデータ・サイエンス経験のない業務執行部門のDataRobotユーザーが顧客セグメント分析を行った所、数百人のコールセンターのアウトバウンド業務において、非常に高いキャンペーン反応率を得る事ができたといった成果が出ております。

DataRobotでは、BIのビジネス・アナリストに対してDataRobotを使いこなして頂けるようなAPIを公開しています。DataRobot Insight for Tableauによる相関性分析では、データ間の相関分析をTableauのダッシュボードからマウス操作だけで簡単に行うことができるようになっており、TableauとDataRobotのライセンスをお持ちのユーザーであれば誰でも無料で利用頂く事が可能ですので、是非お試しください。

以上で説明を終了します。
ご不明な気になる点などあれば、遠慮なくご質問ください!!
最後までお読み頂きましてありがとうございました。

執筆者について
五十嵐 恒(Hisashi Igarashi)
五十嵐 恒(Hisashi Igarashi)

チャネルパートナーディレクター

DataRobot では新規パートナーのビジネス立ち上げなどビジネス・デベロップメントおよび既存代理店とのビジネス協業、Technology Partnerやコンサルティングファームとのアライアンスを担当。マーケティングによるパートナーリードの獲得、パートナー AI 人材育成のためのトレーニング企画および日本主導での認定制度推進。前職(Oracle/Qlik/IBM/Cognos)でもAnalytics 製品の BD/営業として製品横断したソリューションの企画/提案活動を実施。

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